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An another tale of Z reviews

普通は新しい方が良いはずだが(リメイク)?


 アニメーションの場合、特に技術が日進月歩で進んでいた80年代を知っている者にとっては、同じ作品なら新しい方が良いに決まっており、人材も絵も音楽も後発の方がより進歩しているため、例えば同じ作品をアレンジして何回もリメイクされているサイボーグ009などは最初の作品よりカラー化された後の方が、その作品よりさらに後にリメイクされた平成版の方が見やすいということがある。

 この場合の「見やすい」とは、前の作品はもう見なくて良いよという意味で、ルパン三世なら赤ジャケルパンを知っているなら青い方は、ファースト・コンタクトを知っているなら赤い方はもうという意味である。音楽も洒落ているし、演出もストーリーも後発作の方が洗練されている。もっとも、好きで見る分には、あの破格のクオリティの「カリオストロの城」や青ジャケルパンも楽しめる作品だと思うけれども。「銀河鉄道物語」を見たなら、あの長く冗長な「銀河鉄道999」は別に見なくても全然問題ないことがある。つまり、前作の問題点は絵や技術も含めて後発作では熟慮され、乗り越えられているのである。

 が、2199や2202の場合は、絵などはそれなりに進歩しているものの、見ても前の作品が「もういいよ」とは全然ならない所に問題がある。ルパンの場合は2015年の最新作は悪い作品ではなかったが、前作ほどの支持を得られなかったのは作品のフォーマットが古すぎたことによる。ルパンが活躍していたのは70年代で、当時30代としても今や80歳近い老人である。ルパンは設定を引き伸ばして2000年まで延命したが、この作品のポテンシャルは79年の「カリオストロの城」で宮崎駿がモーリス・ルブランの作品と同じく、ルパンとクラリスと目合わせることできれいに終わっていた。

 こういう事情は2202にはなかったが、前の作品を乗り越えたともいえないのは、技術的なものより目に見えないもの、作品の方向性や制作者の思想が以前の作品と大きく異なっている、あるいは全くの別作品であることがある。別作品として見るならば、2202はヤマト2やさらばと比べてそれほど魅力的でもなく、前作に対するリスペクトも感じられない。宇宙戦艦ヤマトシリーズはその時代のアニメ技術の最高水準を示す作品だが、2202で用いられている技術は最高ではないし、監督や脚本家の手腕もはるかに劣っている。

 筆者もレビュー中、しばしば前の作品を再視聴したくなったというのが本当で、比べてみると40年前の作品の方がはるかにテンポが良く、音楽もより美麗で、時にコミカルな演出にも破綻は少ないと感じられた。もし小林らが前の作品を忠実に解釈し、石橋を叩くように丁寧にリメイクしていたならば、古い作品を過去に追いやることができたかもしれないが、実際の彼らがやったのは前作無視の粗雑なリメイクで、捨てるには惜しい内容が残りすぎていることがある。これでは40年前の作品をお蔵入りにするにはまだ足りない。