Mobilesuit Gundam Magnificient Theaters
An another tale of Z reviews

宇宙戦艦ヤマト2202


第13話 テレザート上陸作戦・敵ミサイル艦隊を叩け!

あらすじ
 後継者の育成のため、ゴーランドはノルを砂竜惑星に誘う、一方、ヤマトはテレザート上陸作戦を敢行する。

Aパート: ゴーランド砂竜狩り、ヤマト作戦会議
Bパート: テレザート上陸作戦、ゴーランドの最期

コメント
 いまいち頼りない後継者ノルをゴーランドは砂竜惑星での砂竜狩りに誘う、砂竜の親を射殺してピーピー鳴く子竜をノルに始末するように促すゴーランドだが、感情過多のノルは涙ながらに引き金を引く。ゴーランドの言によれは彼は19代目で、ノルが成人すれば20代目となるらしい。一代20年として19代で380年、案外浅いガトランティスの歴史である。

 ガトランティスにより全球を岩盤で覆われたテレザート星に上陸すべく、古代はヤマトを設置中の岩塊の背後にワープさせ、艦隊をモビルスーツで挟み撃し、しかる後に岩塊を波動砲で吹き飛ばす戦術を立案する。が、ゴーランドは破滅ミサイルを岩盤に撃ち込み、これを波動砲で爆破するはずだったヤマトの手間を省いている。それにしてもあのコスモタイガーがモビルスーツ運搬機とは。なお、運搬パイロットの鶴見はこれで被弾して戦死する。そしてヤマトは波動砲をゴーランド艦隊に向けて放つ。

 そもそも障害物があるのにワープできるのかとか、ワープ直後に波動砲を撃てるのかといった(ヤマトシリーズなら当然の)疑問があるが、この脚本と副監督は作品を物していながら視聴者と対話する気がないので、制作者以外に意味不明な独りよがりな展開はまだまだ続く。作戦は作戦になっていないし、設定は設定になっていないことがこの作品を視聴していていちばんフラストレーションの溜まるところである。

カオルのひとこと
 ガトランティスの将軍ゴーランドが登場。この星の慣例にしたがってクローン子息を育成中である。感情はないというガトランティス人だがクローン子息は感傷的で、親の愛を渇望する様子が見てとれる。一方ヤマトはいつの間にかテレザード星に到達し、蓋つき茶碗のような形状のその星へ突入するための作戦会議を行っている。蓋状の岩盤の内側にワープして岩盤を波動砲で撃ち、向こう側のゴーランド艦隊をやっつけるという作戦だが、いまだに波動砲で「人」を撃つのを躊躇する古代という構図を引きずっているようだ。その古代の逡巡がまったく視聴者の共感を得るものでないだけに、イライラが募る。
 驚くべきことにこのヤマトにはモビルスーツが搭載されていることが明らかになる。なぜかここで斎藤や永倉とともに山本までがモビルスーツで発進し、そのあまりの無様なコントラストに話がすべてすっ飛んでしまった。
 盾にするつもりだった蓋状岩盤はゴーランドの先読みで爆破されてしまったが、おかげで障壁がなくなりヤマトは波動砲でゴーランド艦隊をきれいに片付ける。最後にゴーランドがクローン子息に見せた親の情けが無理に涙を誘おうとする作者の「甘さ」に見えてならなかった。

評点
★ 映像は派手だがそれ以外はメチャクチャ。(小林)
★ ヤマトにモビルスーツが似合わなすぎる。(飛田)

用語解説

ガイレーン
 ズォーダーの幕僚の一人で情報記録庁長官、複眼のメガネを掛け、宇宙の各所から情報を収集している。バランでのヤマトの戦いを開陳して幕僚たちを驚かせる。実は容貌や背丈は大帝ズォーダーに酷似しており、ズォーダーの言葉ではサーベラー以外に「純粋な」人間はガトランティスにはいないことから、実は先代の大帝か何らかの理由で大帝になれなかったズォーダーのクローンの一人で、彼の老成体と思われる。ズォーダーの幼生体はサーベラーの記憶によるとミルと良く似ており、今話で戦死したゴーランド同様、ズォーダーもミル→ズォーダー→ガイレーンの順で世代交代していると思われる。作中での扱いは案外おざなりで、サーベラーに顎で使われ、元大帝の割には特段敬意を払われている様子はない。そのため、気楽な上皇的身分か、やはり大帝になり損ねの秋篠的ポジションにあるのかは定かではない。


第14話 ザバイバル猛攻・テレサを発見せよ

あらすじ
 ゴーランド艦隊を屠ったヤマトは岩盤を抜け、テレザート上空に飛来する。戦いはモビルスーツ戦に移り、ザバイバルを倒した斉藤と古代らの前にテレサが姿を現す。

Aパート: テレザート上陸作戦、衛星砲の攻撃
Bパート: ザバイバルの最期、テレサ出現

コメント
 例によって小林誠の前任デザイナーいじめ第二弾、前回はゼルグードだったが、今度はメダルーザが戦車に改造されてモビルスーツの餌食となる。コスモゼロは波動掘削弾の運搬機、コスモタイガーはモビルスーツ輸送機と小林メカ以外はロクな使われようをしていない。どうも守備隊はザバイバル以外無人らしい、そういうわけで十数秒で地上戦車は掃除され、残りは斉藤モビルスーツの投げた岩塊(自機の百倍以上ある)に踏み潰されて爆破される。出渕戦車が頼りにならないことを見たザバイバルはガミラス譲りの反射衛星砲で反撃するが、キーマンにより衛星砲は誤動作して自滅する。とにかく、オリキャラ、オリメカしか活躍しない話である。良く見ると機甲甲冑の頭部は永野護のエルガイムマーク2に似ている。気の毒なほどオリジナリティのない人っているんだなあとため息をつく。たぶん機甲甲冑も生ョ範義か加藤直之のパクリだろう。

 蓮の花から現れたテレサの下りはこの作品の変さ加減がてんこ盛りの場面である。真田が熱弁を振るい、「生きながら「天国」に行ったテレザート人」と言い出した時にはコイツほんとに科学者かと思え、また、テレサが「はるか遠い昔に(たった380年前だ)」、アケーリアス人が自ら撒いた種の安全装置としてガトランティスを創造したという下りは中学生あたりが考えそうな中二加減といえ、とても2018年の作品とは思えないものである。あと、縁(えにし)についてなにか難しい話をしているがどうにもインチキ臭く抹香臭い。というより、この場面はほとんど仏教マンガである。そしてそこにデスラーがやってくる。

 なお、テレサが関心を持った大和とは、元は奈良県天理市の新泉町あたりを指し、元の意味は「山に囲まれた処(と)」という意味である。後に奈良県全域や倭(ヤマト)国(日本全体)を指すようになったが、この倭国とは冊封体制の中国では「従順で矮小な遠い国」という蔑称であった。この呼び名を嫌った聖徳太子らが倭を大和と書くようになり、後の大和国につながったという歴史がある。強いて言うなら同じ太子の十七条憲法に具体的な用例があるが(第一条)、この憲法自体、当時の漢籍の雑多な寄せ集めで、これと言って深遠な意味のないものである。大和(ヤマト)は「大いなる和」と強引にこじつけ、大霊界に収斂するのはたぶんに福井の半可通のでっち上げだろう。

カオルのひとこと
 ゴーランドの次はガトランティスの猛将ザバイバルの出番である。なぜか将軍なのに部下の姿が見えないが、どうもガトランティスは将軍といえどもボッチが基本のようである。降下したヤマトのモビルスーツ隊はザバイバルの大戦車隊と対戦するが、しょせんボッチのAI戦隊なので、あっという間にモビルスーツに蹂躙され、ボッチ将軍ザバイバルは斎藤との一騎打ちに追い込まれる。
 流れるように派手な戦闘シーンが繰り広げられるが、それに先立つ作戦説明もなく、敵はメカばかりで戦う兵士の姿もなく、人物画を描く予算が足りなかったのかと邪推してしまう。
 そうして普通に見ていても2倍速ぐらいの速さで戦闘が終わると、いよいよテレサとの面談になるが、ここで突然作風が宗教アニメに変わり、創価学会か何かの宣伝アニメを見ているような気分になる。蓮の花から現れた金色のテレサは古代や真田に向かって「和」だの「縁」だの抹香臭い話をはじめ、そんなことならもっと丁寧に戦闘シーンを描けよと恨めしくなった。毎回びっくり箱方式で驚かす仕掛けで盛り上げる本作だが、ここではデスラーの登場がその仕掛けである。そろそろびっくりするのにも飽きてきた。

評点
★ 何を見ているのか分からなくなってきた。(小林)
★ 大物キャラの説法合戦に飽きてきた。(飛田)

用語解説

小林誠の前任デザイナーいじめ
 小林誠と出渕裕は共に代々木アニメーション学院の出身で、その最初期の卒業生であり、ヤマトへの参画は「新たなる旅立ち(1979年)」からであるが、その後もヤマトに参画し続け、完結編まで割と地味に関わっていた出渕と異なり、小林はモデル誌への連載や寄稿など、その筋で名を知られるイラストレーターとなった。出世作は機動戦士Zガンダムで、最初のデザイナー永野護のメカが不評で模型化困難などの理由で先達の大河原ほど線が古くなく、永野ほど前衛的でないということでデザイナーに起用された。が、当時からのこととして作品とその背景を理解する能力が極端に乏しく、「赤いモビルスーツはシャアの機体だけ」というガンダムの不文律を破り、頭にシャアのヘルメットを被った雑魚メカ・マラサイを登場させてから、俺デザインによる作品破壊が甚だしくなる。
 やり口としては前任者のデザインを「旧式」、「低性能」とこき下ろし、自分のメカで叩く壊すというのが常套手段だが、リックディアスや百式など彼によってボロメカ扱いされた秀逸なデザインは数多い。本作でもパヨクの戦艦や出渕裕デザインの艦はほぼ例外なく自分メカの生贄としており、シド・ミードの影響かムダに角ばった単調なデザインを多く混入させ、さらにトランスフォーマーの影響で妙な模様を敵味方問わず多数書き込んで作品世界を混濁させている。見ての通り独創性はほぼ皆無で、そのデザインはどこか何かのオリジンのあるものだが、本人には自覚がないらしく、宮武一貫のアンドロメダを改悪して自分のデザインとしたり、永野のリックディアスをカッコ悪くしてシュツルム・ディアスとしたなどの罪科も数多い。その履歴から工学的知識に乏しく関心もないため、工業デザイナーとしての資質は皆無で、格納庫の上に巨大砲塔を載せたネェル・アーガマをデザインして福井に売り込んだのはこの小林である。