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An another tale of Z reviews

宇宙戦艦ヤマト2202


第5話 激突!ヤマト対アンドロメダ

あらすじ
 地球を発進したヤマトは山南のアンドロメダとその艦隊の追撃を受ける。

Aパート: コスモタイガー隊脱走、病身の加藤親子
Bパート: キーマン乗艦、ヤマト対アンドロメダ

コメント
 ヤマト脱走話の前半は演習中のアンドロメダ隊から脱走する山本と篠原の空戦アクションシーンと病気の息子を抱えた加藤一家の湿った話でほぼ占められる。前作が地球を離脱したヤマトに加藤率いる航空隊が颯爽と来援したノリの良い話であったことを考えると少々かったるい話である。追撃隊に追い詰められた山本らを飛来したキーマンのガミラスファイターが救う。沖田の遺影についていけないとこぼした山南はアンドロメダ単艦でヤマトを追う。

 古代らを育てた厳格な教師という印象だった前作の土方から少しトボけた山南がアンドロメダ艦長になったことはそれはそれで味があるが、褒められるのは声優の演技だけで、前作がここはヤマト以上のハイテク艦である同艦の強大さを存分に描いていたことを見れば、「重力子スプレッド」など小技はあるが、数段見劣りすることは否めない。それにあのアンドロメダ、最新式の主砲を何十発も撃ち込んでもヤマトのアステロイドリングや波動防壁を貫けないあたり、先に大戦艦に通用しなかったこともあり、あまりすごそうに見えないこともある。ヤマト2の花形戦艦をヘタレ艦にしたスタッフの罪は重い。

 前作ではすれ違ったヤマトに土方は独断で追撃を中止したが、2199の下っ端艦長山南にはその胆力はなく、防衛軍長官の命令で地球艦隊は追撃を中止する。中止命令の背後には時間断層の秘密がこれ以上漏れることを恐れたガミラス大使の進言があった。なお、前回被爆した11番惑星のその後はこの話では全くフォローされていない。本来ならヤマトもアンドロメダも救援に赴くべきはこの星だろう。そして状況があらかた片付いた所で月から増加燃料タンクを背負った加藤が飛来する。

カオルのひとこと
 ヤマトの花形、コスモタイガー隊隊長の加藤は不治の病に侵された息子を抱え、もう一人のスター山本は女性になって、まったく華がなくなった。颯爽と彼らが反乱戦艦ヤマトに加わる話に湿ったテイストは似合わない。一方、戦闘衛星を撃ち落とされて激高した参謀の芹沢はアンドロメダにヤマト追撃を命じる。しかし、さすがに10倍早送りの促成栽培戦艦では、旧式とはいえ頑強なヤマトに歯が立たなかった様子である。沖田の子供たち、と言いつつヤマトを見送る山南艦長はそれなりに渋く見えるが、それに釣り合わないことがばれてしまったアンドロメダであった。
 それはそうと、コスモタイガー隊を助けてしれっとヤマトに乗り込むガミラス人のキーマン。名前からして見え見えな存在感で、これから先もいろいろと降りかかる困難を解決してくれる(作者にとって)便利なキャラになりそうである。

評点
★★ 山南以外に良い所がない(小林)。
★ おいしいところは、みんなガミラス人が持っていく構図か(飛田)。


用語解説

山南
 ヤマト艦長は旧作では初代の沖田に二代目の土方(2ではアンドロメダ艦長)、そして三代目はこの山南に最後は古代進であるが、「ヤマトよ永遠に」の印象では沖田や土方の後輩で部下の言い分をよく聞く調整型の艦長という印象であった。2199では全員が何らかの役で出演しており、特に山南は沖田の旗艦きりしまの艦長として比較的出演回数が多い役回りだった。外見は旧作は俳優のリチャード・バートンに似た色黒の男前だが、2199以降は元になった新撰組の山南敬介に似たキツネ顔の策士で、旧式戦艦の艦長から最新鋭艦の艦長に抜擢され、地球艦隊の事実上の司令官としてガトランティスに挑む。なお、旧作の山南は三次元戦法で暗黒星団帝国の艦隊を翻弄するなど戦術巧者だったが、スタッフが悪いせいか本作では力押しの強引な戦術が目立ち、戦術家として退化している。


第6話 死闘・第11番惑星

あらすじ
 ガトランティスに襲われた11番惑星はテレザート同様殺戮の荒野となる。脱出した長倉により基地の危機を知ったヤマトは惑星の救援に向かう。が、それはヤマトを誘い出す大帝ズォーダーの罠であった。

Aパート: 破壊された11番惑星、永倉の脱出
Bパート: 11番惑星救援作戦、合体ビーム攻撃

コメント
 11番惑星の戦いは前作では防衛軍によるヤマト免罪の理由となった戦いだが、2202ではヤマトはすでに免罪されているので、防衛軍は惑星は他の艦隊に任せてヤマトはテレザートに向かうよう指図する。が、防衛軍の有言不実行に対する不信と合流した山本の進言で古代は指示を無視して惑星の救援を決める。

 2199の時から感じていることだが、戦艦ヤマトの大きさは元の戦艦大和が全長263メートル、6万9千トンの戦艦で決まっていることがあり、宇宙戦艦の方もそれほど大きくできない制約がある。が、旧作でもヤマト3以降はメカのインフレ化が著しく、作中では「大型戦艦」であるヤマトもガミラスやガトランティスの標準艦と比べると中型艦程度の大きさで、この辺意識していたパート1のガミラス艦がおしなべてヤマトより一回りから二回りほど小さな艦であったことを考えると、新作なら大きさの方も戦艦らしく見直した方が良かったとなる。実写版は全長500メートルの艦とし、それなりの威容を誇ったが、これは尺が短すぎた。

 作戦会議の場面で、永倉からの情報として十数隻の侵攻艦隊の映像が開陳されたが、見たところ軽艦艇ばかりで、この程度の艦隊ならヤマトが「戦艦」であれば一隻で蹂躙できたはずである。ワープも波動砲も旧作では軽々に用いることのできる装置ではなかったが、その辺のコンセンサスがきちんと取れていないので、視聴者も「戦術」や「作戦」を意識することができず、実際の映像はニードルスレイブを初めとする小林オリメカが所狭しと活躍する何だか分からないものになっている。

カオルのひとこと
 たしか3話のラストで爆撃を受けていた11番惑星が、ようやく日の目を見る話。霊界通信で飛び立つヤマトも、そんなヤマトを阻止しようとするアンドロメダも、同胞の危機にはまるで気づかなかったようである。ガトランティスの攻撃を受けて壊滅した11番惑星に駐留していた空間騎兵隊の女性隊員が、救いを求めて脱出しヤマトを連れて戻ってくる。そこで避難民がヤマトに乗り込み...と話は続くが、これからはるかテレザード星を目指そうというこのときに、避難民どころではないだろう。それこそ時間断層でモヤシのように促成栽培されている艦艇を呼びつければいいのではないか。もっともガンダムといいマクロスといい、避難民を乗せての逃避行がつきものだったことを思うと、そういう話をやるために仕込んだ設定だな、とうんざりさせられる。
 どうでもいいことだが、土方と面談する博士の書類にちらっと見えたのがQRコード。そんな技術が200年先もまだ生き延びているのだろうかか?

評点
★ 救援に行くならさっさと行こう(小林)。
★ 早くも何のためにヤマトが旅立ったのか忘れかけている(飛田)。


用語解説

11番惑星
 その後の天文学の進歩により、太陽系には冥王星のほか、同等ないしそれ以上の大きさでより多くのカイパーベルト天体が存在することが分かっているが、2202のそれは原作通りの「11番惑星」である。すでに「9番惑星」であった冥王星はIAU(国際天文学協会)の決議により惑星落ちしており、11番惑星が同協会の「惑星」の定義に合致するかどうかは良く分からないが、おそらく合致していないだろうことはこれまでの彼らの作品を見れば分かる。ガミラスによる人工太陽を衛星として持ち、土方率いる空間騎兵隊のほか、若干の民間人が入植している。なお、旧作ヤマトでの11番惑星は当時の天文学の知見から、冥王星の大きさが地球のおよそ半分(実際は50分の1)であったことから、同等ないし地球サイズの惑星であったとされ、超古代文明の遺跡があり、衛星も従えている。リメイクに際しては抜本的な見直しが必要だった設定。