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機動戦士Zガンダム第43話「ハマーンの嘲笑」遠藤明吾

あらすじ
 進行するコロニーレーザーがグラナダに迫り、エウーゴ会長メラニーは戦艦アーガマにネオジオンとの共闘を求める。

Aパート:メラニーの共闘命令、アーガマでの会見
Bパート:エウーゴ陽動作戦、グワダンのコロニー破壊

シャアの凋落を知らないハマーン
 確か8月にレビューに疲れて4ヵ月後のゼータレビュー再開、早く終わってくれと思いつつビデオのスイッチを入れる。残りあと8話だ、長い。ジオンと組めというメラニーの命令に戦艦アーガマ艦内は例によって仲間割れ、カミーユらは戦艦グワダンに単身交渉に向かう。全部シャアの策略だと思っているようだが、彼の(著しい)地位低下を知らないハマーンは逆に戦艦アーガマに乗り込んでシャアと交渉し(適当にイジメ)、ティターンズへの裏切りを約束する。だから彼はシャアじゃなくてクワトロ大尉なんだってば。
 この辺よく分からないんだが、交渉条件がネオジオンへのサイド3の割譲、住民どうなってんのと思うのだが、この作品の世界では支配者というのは軍人か大企業のオーナーなので、住民というのはおとなしく言うことを聞いてくれる存在らしい。一応この時点ではネオジオンはティターンズの同盟軍ということになっている。
 ティターンズを陽動するため、たくさん出てきたディアス隊(手が飛ぶ足が飛ぶ)に嫌な予感がしたが適当に戦いが進み、ネモ27号(エウーゴのパイロットは人間ですらないらしい)がやられたことを感じたファが出動する。で、ハマーンがコロニー砲を破壊し、昔の女に助けられたシャアは頭を抱えてドドンと落ち込む。

カオルのひとこと:ティターンズがグラナダをコロニーレーザーで狙っていると知ったエウーゴのメラニー会長は、アクシズのハマーンとの共闘を申し入れることに。アーガマでは若年層を中心に反対者が続出するものの、カミーユが使者としてグワダンに乗り込み、ハマーンは交渉のためアーガマへやって来ます。彼女はクワトロ=シャアがすべてを牛耳っていると思っているようです。曰くありげな二人の会話、とにかく滑稽です。

落ち込むシャアの意味不明、作話、作画、すべてがアンバランスなまま
 全編戦闘とその描写で実はやや単調な話、この作品ではお約束の意外性のない痴話ゲンカもお預けで、一人コロニーレーザーを壊されるバスクが哀れである。
 さて、と、ここで気を取り直して観察してみると、すでに43話である。ゼットガンダムもあと7話なのでこんな平板な話をしていてはいけないはずである。と、建前論は置き、食い足りない理由を見ると、やはりシャアとハマーンの関係がきちんと語られてなかったことが痛い、どうしてシャアがあれほど落ち込むのか意味不明なのである。が、この場所でそれを語らせるのはすでに手遅れ、なし崩しで行くしかなさそうである。
 作画の崩れもひどく、時折ハッとする絵もあるのだが、全般的にアジズ中尉編と同じ二〇面相作画である。ハマーンの首なんか伸びたり縮んだりもう滅茶苦茶だ。こういうのはいくつもの下請け(絵を描く会社)に分担して発注しているので、別にガンダムに限らないが、この時代は割と揃ってきた時代のはずである(ヤマトなどはひどかった)。作品自体が不発弾だったので制作システムそのものが崩れ始めているという裏事情も見える話である。

カオルのひとこと:ハマーンはエウーゴとの共闘に合意し、コロニーレーザーの破壊を引き受けます。その間に、ハマーンとの共闘に反対するファとカツが自習室行きといういつもの話が一方で繰り広げられます。モビルスーツ隊総出撃ですが、クワトロはブライトに出してもらえず、ファとカツは謹慎中。なので出撃しているモビルスーツに誰が搭乗しているのかはナゾです。

 作画については、ヤマトはパートIがガンダム並み(それでもだ)という作画のすごさだったので、以降は総監督の西崎氏は作画の質の均一に意を払っていた形跡がある。ゼータより二年前の「ヤマト完結編」を見ると、プロット自体の旧態化はともかく、絵に関しては微妙な表情まで描き込むなど「ついにここまで来たか」という水準に達していた(アニメのレビューやるなら見たほうがいい)。それから二年後のこの体たらくである。アニメは総合芸術で制作スタッフのみならず、それを支えるプロデュース、各種技術者の養成、会社の経営、すべてが揃わなければできないのである。スターウォーズの制作秘話でルーカスが大道具係の食事や賃金の支払いに普通以上の配慮を示していたことは、この場合は留意していい。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:さんざん気を持たせておいてハマーンは一応約束通りにコロニーレーザーを攻撃。後で自分たちが使えるように、被害を最小限で食い止めておきます。そういえばアーガマでの会見で、ザビ家復興を交換条件に持ち出したハマーン。もし認めなければ地球に前面核攻撃をすると手の内を明かしていますが、何とも安っぽい悪役ぶり。だけど、地球を攻撃されて本当に困るのは、地上にへばりついている地球連邦とティターンズの面々ではないの? 脅す相手を間違ってる、というかエウーゴってどういう立場なのか、本当は誰も分かってないのかも、とさえ思えてきますね。ここではハマーンに頭を下げたシャア、続編の「逆襲のシャア」では彼女のこの脅しを使って何かやらかしていましたね。頭を抱えていたのは、「そうか、その手があったか!」ということだったりして?!

評点
 ハマーンの立ち位置が意味不明。(小林)
★★ 少なくともワンパターンではなかった。(飛田)


関連レビュー「ZZ第43話 コア3の少女(後編)」脚本:遠藤明吾

あらすじ
 コア3に潜入したジュドー、プル2を放ったグレミーはハマーンに叛旗を翻す。

Aパート:ジュドーの潜入作戦、グレミーの反乱
Bパート: キャラ対プル2、ジュドー対プル2

コメント
 コア3って良く分からなかったんだが、どうも地球連邦がハマーンにくれてやったコロニーだと分かる。この辺もう少しちゃんと解説してくれんかな、それとあの変な宮殿の今。話がバラけていて何が何だか分からないが、とにかく話は進む。どうもジュドー達の狙いは騒動を起こしてハマーン邸に潜入することらしい。それにしてもガンダムチームの2人を捕らえても拷問もしないネオジオンはザルというか、大昔に激走戦隊カーレンジャーのラスト付近でカーレンジャーの正体を掴んだ怪人に「カーレンジャーに正体なんかねえ(歴代戦隊シリーズでも屈指の名台詞)!」と握り潰した敵幹部(ゼルモダ)のような、何ともマヌケな光景だが、知らない間にハマーンとグレミーの戦いが始まってしまう。ああ、これで最終話付近まで行くのね、ネオジオンの仲間割れか。混乱の中、ジュドーはハマーンと再会する。何でもハマーンによるとジュドーのプレッシャーでグレミーへの対応が遅れたという話だが、そんな理由で非難されてもと思うが、もはや話はカントク以外は常人の理解出来ない領域に入っているのである。あと、「名誉挽回」という言葉はこの期に及んでも富野氏は「汚名挽回(キャラ)」と誤解しているのだなと実質的に脚本を書いた人まで分かってしまうこの回である。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★ 正直、少々退屈な話。


関連レビュー「ガンダムAGE第 43話 「壮絶 トリプルガンダム」
      脚本:木村暢

あらすじ
 ルナベースへの降下部隊は、ヴェイガンの激しい抵抗にあい、戦線を維持することができず、フリットは禁止されているプラズマダイバーミサイルの使用を命じる。アビスら降下部隊は、ミサイル使用までの20分に基地へ突入し制圧する作戦を考え出し、実行に移す。ジラード・スプリガンはXラウンダー能力の使い過ぎで暴走、凶暴化の果てに自爆する。

Aパート:フリット、ミサイル使用を命令。降下部隊、突入作戦を開始
Bパート::ジラード凶暴化、基地司令脱走、基地制圧

コメント
 タイトルには「壮絶 トリプルガンダム」とあるが、はて、フリット、アセム、キオの3機のガンダムがついに合体するのか、あるいは合わせ技で一本取るのか、と思ったら、画面を見てもほとんど3機は現われず、やたら壮絶なのはジラード・スプリガンだった。とはいえ、どうせ死ぬと分かっているキャラ、彼女が凶暴化してから自爆までの延々のやり取りは、何の進展もなくうるさいだけ。
 実は最も壮絶で、物語の肝となっているのは、ジラードでもトリプルガンダム(そもそも、アセムの乗機はガンダムなのか?)でもなく、ルナベース攻略のために月面に降下したアビスの部隊と、ヴェイガンのルナベース隊との戦いである。フリットが、禁じられている大量破壊兵器を使ってルナベースをまるごと吹き飛ばそうとするのを知り、降下部隊のアビス隊長は、ミサイル装填までの時間を使って、ボトンブラスターで基地を攻撃、突入してシステムへのアクセス。基地にいるヴェイガン兵と司令に、投降を呼びかけるのである。ここに、ジラード事件の真相を隠してヴェイガンに寝返っていた基地司令の脱走劇が加わって、実はけっこうスリリングな展開を見せているのだが、これが、狂ったジラードにタジタジで叫んでいるだけのキオをはじめ主人公陣のグダグダな戦いの背景になってしまっているのが、実にもったいない。ジラードの自爆話は前回1話でカタをつけて、今回は降下部隊メインの話にした方が良くまとまったのではないだろうか。

評点
★★ やかましいガンダムと暴走ジラードはいらなかった。整理すればもっと面白くなる話。


その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第43話レビュー
「パラレルユニヴァース」 Z第43話レビュー


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