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機動戦士Zガンダム第22話「シロッコの眼」丸尾みほ

あらすじ
 新型モビルスーツZガンダムが登場し、エウーゴは活気づく、さらに新鋭機メタス、Gディフェンサーのアーガマ配備が決まり、レコアがその運搬人に指名される。一方、先の戦いで乗機を失ったジェリドは咎められることなく部下を与えられる。再度出撃したガブスレイでジェリドは再びZガンダムと対決するのだった。

Aパート:Zガンダム登場、ジェリド出撃
Bパート:ファ出撃、シトレ戦死

 香港編で少しは良い所があったかと思ったら、またいつもの悪の作戦会議である。次は正義の戦艦アーガマでの痴話ゲンカ、ああ、いつもの気怠いガンダムが戻ってきた。聞けばカミーユの幼なじみファがパイロットになるらしい。戦艦アーガマの頭脳は健忘症が激しいらしく、前回でティターンズの進路は月と分かっているのだが、「この状況では月だな」とまた認識しているあたり、脚本の不統一がある。健忘症は敵も同じで、ジェリドは再び戦艦アーガマを探しに出撃する。先に見つけたんじゃないのか。

結成!敵も味方もニュータイプ団
 前回は割といいムードだったカミーユとファがやけに刺々しくなっているのも比較して違和感を感じる点で、実はファはカミーユらが地球にいる間にパイロットの訓練を受けていたらしい。前回ファが登場したのが10話なので、3ヶ月はご無沙汰していたことになるが、作品の進行は地球編は大半がジャブロー戦後の後始末の話でそんなに時間も経っているように見えないことから、ここには少し矛盾がある。実はパイロットだったんじゃないだろうか、そう思えるほどのファの優秀さである。主人公カミーユなんかよりよっぽど覚えが良いが、まもなくさらに優秀な(訓練1ヶ月)カツ・コバヤシという(文字通りの意味での)ニュータイプが登場するのだった。

カオルのひとこと:エマによって「レクリエーション」と名づけられたカミーユとファの痴話ゲンカ。そんな余暇に付き合わされて視聴者の方はもううんざりです。一方のティターンズでも女ばかりの部下に囲まれたジェリドが新人サラを吊るし上げ。ジャブローでジェリドを助けたマウアーはシロッコに言いよられつつもジェリドに肩入れしている様子。そんなこんなで人間関係がやけにドロドロしてきました。

 アーガマのニュータイプ団(カミーユ、レコア、エマ、ファ)に袋叩きにされているジェリドを助けないシロッコというのは、たぶん前の話から察するに「マウアー独り占め(ジェリド死んでくれ)」だと思うが、これは前回で「大人には大人の男が似合う」など、口説くシーンがふんだんにあったので特に矛盾もない。その最中でシロッコ団の一人シトレが戦死し、無断出撃したファのリックディアスは腕を飛ばされる。そしてシロッコの子飼いサラ・ザビアロフはジェリドを捨てて戦場を離脱する。

カオルのひとこと:マウアーを口説くシロッコは戦果を焦るあまりエウーゴのニュータイプ団に袋叩きにされているジェリドを見殺しに。アーガマではパイロットとして訓練中のファが、こちらも戦果を焦ってか勝手に出撃。「カミーユは私が好き」とか「マザコンに手を貸すのが怖い」とか、妄想の世界に入っているエマはカミーユに優しくファには厳しい。なんかここにもおかしな三角関係が?

 富野アニメの場合、主役機が交代した場合、旧主役機に乗るのはヒロインという暗黙の「お約束」があるのだが、ほとんど何の前振りもなくエマがマークIIに乗っているのはハッキリ言って「何とかしろよ」と言いたくなる説明不足の場面である。すでにリックディアスよりは高性能なことを実証した同機だが、肝心のエマはといえば出てくるのはキツイ言葉に引っ叩く場面ばかりで、台詞も自意識過剰な変な言葉が目立ち、作画も崩れているのでそんなに良い女性に描かれていないのが何ともはや。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:マウアーをシロッコに取られてなるものかと勇み足のジェリドがいつものようにエウーゴに襲いかかるも、新型機ゼータガンダムを駆るカミーユの前に歯が立たず、部下のシドレを失う羽目に。戦艦ドゴス・ギアに戻ったところで、シロッコから不気味な出迎えを受けます。なぜ増援を出さなかったのか聞かないのか?というシロッコに、ジェリドは「当面の目的はアポロ作戦だから」と答えます。そこで私たちははじめて、何やら大規模な作戦が計画されていることを知るのです。痴話ゲンカより遥かに気になる展開ですが、アーガマにカメラが戻ると、無断出撃したファをエマが平手打ちする暴力沙汰。こうして第2クールは何が起ころうとしているのかワケが分からないまま、最後の1話の大作戦へ向かってゆくのでした。

評点
★★ 新メカ登場もパッとしない展開。(小林)
★★ ギスギス、ドロドロしてきた人間関係に辟易。(飛田)


関連レビュー「ZZ第22話 ジュドー、出撃」脚本:遠藤明吾

あらすじ
 地球に向かったハマーンを追い、地球に向かった戦艦アーガマ、アクシズ側ではハマーン好みのマッチョ男ラカン・ダカランが登場し、アーガマ撃沈に向かう。一方、妹を心配するジュドーは爆弾を担いでアクシズ艦にリィナの所在を訪ね歩く。

Aパート:サダラーン撃沈命令、ジュドーの爆弾作戦
Bパート:ジュドーとハマーンの対面、ラカン対ジュドー

コメント
 いや、ホント、ZZ後半は榊原良子の演技力で持っているわと思わせるハマーン様の登場だが、作風の方はますます「ゼータ化」が進んでおり(BGM変わるし)、見ているこちらまで欝になってしまう。前半の残滓を残すジュドーの爆弾作戦は相変わらず笑えるが、どうしてこの路線で最後までやってくれなかったかと。そこで戦艦サダラーンでジュドーとハマーンのご対面なのだが、この対面の色っぽいこと艶やかなこと、しかし残りがねえ、、
 ここで一言すると、ハマーン役の榊原さんという人は、こういう番組よりもむしろテレビのニュース解説とか吹き替え物でおなじみの人である。当時、声優という職業はまだ一般に認知されておらず、例えば時代劇の斬られ役とか刑事ドラマの悪人、占い師の方が本職という兼業がしばしば見られた。榊原さんは当時は数少ない「声で仕事ができた女性」であり、他の声優とは別格の人である(ニュース解説が多かったせいもあり、本人も非常に知的な女性である)。ガンダム諸作品でもこのハマーンにマウアー、ナナイなどいずれもヒロイン、準ヒロイン級の役柄を演じており、同系統の作品で同様の例は他の声優には見られない。後年になると芸風にますます磨きがかかり、この時期の演技はまだ若さを感じさせるが、問題だったのはこの声優があまりにも才色(声)兼備で優秀すぎたために、ZZ後半を担当した富野(監督)に彼女に依存する傾向がしばしば見られたことである。
 多少いい加減なドラマでも脚本の欠陥をカバーしてしまうほどの才覚と演技力のある女性による作品はそれなりに見られるが、だからといって、筆者の目はごまかせない。筆者が見ているのは作品としてのトータルの完成度なのであるから。 (レビュー:小林昭人)

評点
★★★  ハマーン登場で良しとしましょう。


関連レビュー「ガンダムAGE第 22話 ビッグリング絶対防衛線」脚本:日野晃博

あらすじ
 ヴェイガンは、ビッグリングへの大規模攻撃作戦を開始。特殊能力を持ったXラウンダー部隊を投入する。地球連邦軍艦隊もビッグリングより出撃。フリット・アスノ司令の指令により、Xラウンダー部隊の動きは封じられる。そのためゼハートと兄デシルが出撃、ゼハートはアセムと、デシルはガンダムで出撃したフリットと対戦する。

Aパート:ビッグリングへの侵攻開始、Xラウンダー部隊登場
Bパート:ゼハート対アセム、デシル対フリット

コメント
 いよいよヴェイガンと地球連邦軍の全面戦争が始まる。地球制圧をもくろむヴェイガンは、地球から火星への移住に失敗して見捨てられたらしく、冒頭でイゼルカント様が幼少のゼハートに懇々と恨み節を語って聞かせる。どうやら世襲なのはアセムだけではなかったらしい。幼い頃から地球征服の野望を果たすべく洗脳されているゼハートである。
 さぞかし優秀な司令官なのだろうと思うのだが、ビッグリングに戦いを仕掛けて、それからどうやって地球を制圧するのか、作戦の全容は見えないまま、戦国時代の合戦のように兵士たちが雄叫びを上げ、侵攻作戦がスタートする。
 地球連邦軍側も、艦隊が出撃。総司令官はアセムの父フリットで、その横には参謀らしき金髪男が立っている。例によって、これは誰か、何と言う名前か、といったことがわかるようなやりとりはない。モビルスーツ隊に出撃命令が出され、いつものようにウルフ隊長とアセムも意気揚々と出ていく。ゼハートはXラウンダー部隊という超ツヨーイ部隊を投入する。
 あとは、延々とモビルスーツが撃ち合っては爆発し、時折パイロットが何事かを叫ぶ、という場面が繰り返される。Xラウンダー部隊は出てきたときは圧倒的な強さで連邦軍のモビルスーツを蹴散らすが、ビッグリングの司令室で将棋の駒を動かすように部隊にあっちへ行け、こっちへ行け、と指示しているアスノ指令と金髪男の戦略とやらで、あっという間に超ツヨーイXラウンダー部隊の動きは封じ込められてしまう。しかし、彼らが考えているのは「戦術」であって「戦略」ではないだろう。まるでサッカーの試合でチームを指揮する監督とコーチのようだが、サッカーであっても「戦術」と「戦略」は違うものだ。戦術はゲームにおける戦い方、戦略はチームとしての戦い方、そのような理解を私はしているが、その意味で、ヴェイガン、連邦軍双方の「戦略」が見えない、ただの戦闘シーンで非常に退屈してしまう。
 Xラウンダー部隊が封じ込められてしまったので、ゼハートは自ら出撃することを決意する。どうやらXラウンダー部隊がうまく機能しなかったときのことは考えていなかったようである。おまえが出るならオレ様も、と兄のデシルも揃って出撃。これに応じるかのように、総司令官のフリットもガンダムで出撃し、後半はゼハート対アセム、そしてデシル対フリットの親子そろい踏みの因縁対決が繰り広げられる。フリットとデシルには若い頃にいろいろあったらしい、というのがスクリーンセーバーでちらちら見せられるが、フリット編を観ていない私には何のことやらピンとこない。回想で見せるにしても、もうちょっと台詞などを入れて2人の間に何があったか分かるようにしてもらいたいものである。
 ヴェイガンの方は、兄弟二人が私怨の対決に夢中になっているうちに、母艦の方がピンチに陥り、撤退を余儀なくされる。地球制圧を目指す大作戦は、こうしてあっけなく幕を閉じる。どう見ても出過ぎたゼハート兄弟に問題があったように思えるが、イゼルカント様の逆鱗で左遷とか、頼りない司令官に造反する部下たちが出てきそうな大失態である。しかし、世襲と特殊能力で祭り上げられた彼らは、決して責任を取らされることはないのであろう。
 ところで、主人公のアセムだが、今回は父フリットに良いところを全部持っていかれた。アセムにすれば面白くない話だろうが、観ているこっちはもっと面白くないのであった。

評点
 とても白けるものを見せられた。


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2199第22話 向かうべき星」
脚本:大野木寛

あらすじ(人類滅亡まで211日・収容所惑星から19日)
 レプタポーダに寄港したヤマトはディッツら反乱派の援助で修理を受けイスカンダルに向かう。一方、拉致された森雪はガミラスにイスカンダルの王女として迎えられ、デスラーは両星の大統合を宣言する。

Aパート:ナレーション、森雪バレラスに行く
Bパート:ドメル国葬、デスラー砲の攻撃

コメント
 レプタポーダで補修を受けるヤマトだが、つい先日までデスラーの陪臣だった(ついでにドメルやフラーケンの上官でもある)ディッツと会談するとか、イスカンダルが崇拝の対象だとか、ガミラス本星の情報とか、どれ一つとっても重要な内容を沖田のナレーション一つで済ませてしまうというのは、スタッフに取ってこういう話のストーリーというものがいかに軽いかを思い知らされる。捨て駒同然の作戦で夫を失ったドメル夫人にしても、この場所でできるドラマはあったと思うのだが、何かそういう人の琴線に触れる内容にまるで無神経、無視というのは2199のポリシーである。
 デスラーの「大統合」演説にしろ、住人2人しかいないイスカンダルとの統合のどこがガミラス臣民の希望なのか(難民保護ではないのか)、それが英雄ドメルを失ってまで進める価値があるものなのかは全く触れられない。そして合間は沖田倒れるとかメルダの機体とかマゼランパフェとかいつものGdGdタイムである。特にパフェのシーンはディッツとの会見を省いてまでして挿入すべき内容ではないだろう。拉致された森雪の性格がいわゆる今風タカビー女で、面会したノラン、エリーサ、ディッツ、デスラー、セレステラ、そしてヒルデといった面子からほとんど何も聞き出せていないことも話を平板にしている。最近は女性の自衛官が艦長などに登用されているが、その彼女がこんな人格だったらそもそも艦長に相応しくないし、平時の任務にも支障を来すだろう。軍事ヲタクのくせにアニメのみならず現実の軍隊や官僚組織もどうもちゃんと見ていないらしいのである。たぶん、人間にも関心がないのかもしれない。
 ラストの沖田の演説の場面も「背後には地球」と、今さら改めて彼らの使命を説明しているが、そもそもの2199、ここに至るまでただの1カットも荒廃している地球の情景が映し出されることはなかった。乗員たちはガミラスとの戦争ゲームや恋愛に興じており、とても地球を救う使命に邁進しているようには見えなかったし、「イスカンダルの場所は分からない」とか「ユリーシャ半死人ナビ」といった余計な挿話が彼らの使命をますます見にくくしていた。そういうわけで、この場面も視聴者の心に響くことなく、話は最終章に突入していく。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:ユリーシャのふりをして一歩先にガミラスへ行ってしまう森雪。イスカンダルを崇拝するというガミラスの文化とデスラーの「大統合」に驚愕。いったいこの話はどこへ向かうのか?

評点
 無理に無理を重ねたような話、今さらやる話か。(小林)
★★ 一番の盛り上がりは、メルダがパフェに感動するところ。それでええんか? ヤマト!!(飛田)


関連レビュー
「Gのレコンギスタ第22話 地球圏再会」

あらすじ
 ジット団がレコンギスタに出帆し、地球圏は混乱を深めていく。ビーナスの代表ラ・グーはアイーダに20年前に騒乱を起こしたクンパ大佐ことピアニ・カルータの事件を語る。

Aパート:フルムーン・シップ出港、メガファウナ地球に戻る
Bパート:パーフェクトパック、マスクに恋人できる

コメント
 冒頭でタイトルを思い出したのか、今回のテーマはレコンギスタのようである。そもそも今まで一度も説明がなく(ほとんどの言葉に説明はないが)、水死したキア隊長を悼んだジット団は地球圏に出帆する。それを追いメガファウナも地球に戻るが、その時すでにアメリア・キャピタル連合軍とドレッド軍との戦いが始まっていた。
 とはいうものの、戦いの経過や金星からの帰還がほとんど台詞だけで済まされ、金星からの帰還は運動シーンのワンカット、戦いもドレッド軍が法王を人質に取ってカミーバ・ミコシに押し込め、そのカミーバをマスクが奪回したという戦いがあったという、アーミィー司令官の説明だけで終わり、マスクが戦っている間に大佐とスルガンの働きでアメリアとキャピタル・アーミィーは同盟を組み、ウィルミットを説き伏せてナットを要塞化したらしいことが分かる(マスクは孤立)。あと、Gセルフに最後のパーフェクトパックが登場するが、これはビーナス製で光子兵器らしい。
 富野お得意の最終決戦だが、そもそも何を巡って戦っているのか分からないし、話も唐突過ぎてついて行けない。ここから先は例によって意味不明の戦いが続き、どの陣営も適当に人が死んでそれっぽくするのだろう。
(レビュー:小林昭人)

ムタチオン:この時代は人類が宇宙で暮らし始めて二千年後の未来だが、この時間では人類がニュータイプに進化するにはまだ早いだろう。が、宇宙生活に応じた身体の変化は徐々に現れており、ムタチオンはビーナス・グロゥブに多い先天性の遺伝疾患である。この形質を持つ個体はまず四肢が極めて貧弱であり、痩せた体にほとんど成人の半分くらいの身長しかない。成長が遅く代謝が悪いこともあるようであり、個体の寿命は200歳前後と通常人類のおよそ二倍である。が、運動能力もそれに応じたものと言え、ムタチオンの個体はその差を補う義手足であるボディスーツを着用して通常人と外見上変化のない日常生活を送っている。見たところビーナス・グロゥブの住人は総裁のラ・グーを初め、フラミニア、クンなど半数程度がムタチオンのようである。

評点
 いつもの富野展開だが、金星からの帰還は強引すぎ。


その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第22話レビュー
「パラレルユニヴァース」 Z第22話レビュー


関連リンク
An another tale of Z 第22話紹介
An another tale of Z 第22話「潜入」(本編)

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