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機動戦士Zガンダム第8話「月の裏側」 脚本:大野木寛

あらすじ
 ライラの死に悔しがるジェリドは彼女のガルバルディでアーガマ撃滅に出撃する。その頃、月に近づいたアーガマではライラの死に動揺したカミーユとエマが会話する。彼女はアーガマにいる「シャア・アズナブルの気配」を感じていたのだ。そこへティターンズが襲いかかり、月の裏側でカミーユはジェリドと対決する。そしてアーガマはグラナダに入港する。

Aパート:ジェリドの仇討ち編、アムロの話
Bパート:グラナダ到着、カクリコン登場

 もう何話続いているか覚えていないが(多分2話あたりからだろう)、最初に敵戦艦アレキサンドリアが出てきて悪人たちが二、三やり取りというオープニングはワンパターンすぎて他に考えられないのかと言いたくなる。そしていつもの哲学談義、ライラ撃墜に苦悶するカミーユである。彼はニュータイプなので撃墜した敵の残留思念が脳に流れ込んでしまうのだ(病気だろう)。エマはアムロの話をする。どうも彼女は自己紹介なしでも他人の名前が分かるらしい(ニュータイプとはそういうものだ)。「アーガマの空気」とか相変わらず電波な話をしている。そこにやって来るジェリド、いいかげんこのパターンから離れてもらいたい。そして月でライラを巡って怒鳴りあう二人、途中でライフルのエネルギーが切れて白兵戦になるのもお約束である。途中でクワトロがやってきて対決は中途半端に終わる。いつものことである。

カオルのひとこと:父を亡くした時には慰めを求めてエマのもとを訪れるカミーユでしたが、今度はエマの方がカミーユを励まそうとしてカミーユの個室を訪れます。そんな二人の会話を盗聴するクワトロは、自分がシャアだと気付いてくれているかどうか気になって仕方ない様子。

一夜漬け脚本?「ハマー・カーン」って誰だ
 そして後半、グラナダに入港したクワトロ大尉は元ジオンの工作員キグナンと接触する。一大尉にしては高そうな絵のある豪邸でクワトロはジオンの亡霊「ハマー・カーン」が動き出したことを知る。この時期はハマーンの設定はまだ固まっていなかった。エマもグラナダにいるのに「ジャブロー(グラナダ)の近くにエウーゴの基地があるなんてね」など、一夜漬けで作ったかのような脚本である。そしてクワトロはエウーゴの出資者たちに面談し、その場でジャブロー攻略作戦が提案される。説明らしい説明もないが、何でも攻撃すると地球市民の支持を得られるらしい。そしてティターンズを足抜けしたエマをティターンズの便利屋カクリコンが襲う。

カオルのひとこと: 実はシャアだったんだね、ということが分かるのが今回のお話、何しろグラナダに着いたとたん、服装が赤のノースリーブから王子様風シルクシャツに変わるんです。シャアの私服といえば以前は白いスーツでしたが、趣味も大分変わったようです。

説明不足のまま進む作風に疑問

 ジャブローは前作の地球連邦軍の最重要基地で、これだけの攻撃計画があるならそれなりの作戦会議の場面などあっても良いと思われるが、クワトロとウォンらの会話はほんの数十秒で終わってしまう。また、冒頭から連邦軍の監視衛星を破壊したり、ガンダムを強奪したり、モビルスーツを撃墜したりしている「エウーゴ」という組織が何なのか、その辺の説明もないままに、次は出資者ウォンにカミーユが殴られる話になだれ込む。
 どうもこれまでの作風を見ていると、この番組を指導した人物の人間観、物の見方には根本的な偏りがあると思わざるを得ない。非番の時はハンバーガー店でアルバイトをしているヘンケンが哀れである。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:一方カミーユはエマと月面ドライブ中にカクリコンに襲われます。彼はティターンズから寝返ったエマが許せない様子。なぜ二人がドライブしていたのかはよく分かりませんでしたが、カクリコンもよくぞ二人が通る場所が分かったものです。待ち伏せしてましたからね。ドライブ中のピンチを何とか逃れて、神経症の少年と、美人だけどちょっと口うるさいお姉さんというカップルは徐々に親密になってきている…のかなあ? それにしても、ジャブロー作戦ってどんな作戦なのでしょうね。

評点
★★ 8話にもなって未だに説明されないストーリーに苛立ち(小林)
★★★ 内容は薄いがそれなりにまとまった展開(飛田)


関連レビュー「ZZ第8話 鎮魂の鐘は二度鳴る」脚本:鈴木裕美子

あらすじ
 冒頭は前回やられたガザの嵐隊の葬式の場面、こんな感じで毎回始まりが変わるだけでも作品が「普通」になったことを感じるが、いよいよ戦艦アーガマがジャングリラを出る回である。「家(ハンブラビ)と家族(ティターンズ)をアーガマに奪われた」ヤザンがゲモンと手を組み協力者チマッターを人質に取ってアーガマを阻むが、そこに巡洋艦エンドラが現れる。誤って打ち上げられたゲート開放の信号弾でアーガマはジャンク山から発進し、ジオンの巡洋艦と鉢合わせる。「いつも俺の邪魔ばかりしやがって」、身動きの取れないアーガマとZガンダムにヤザンの恨み節が炸裂する。そしてルー・ルカの機転でコロニーのハッチが開かれ、アーガマはシャングリラを脱出する。

Aパート:アーガマのコロニー脱出作戦、ゲモンとヤザンの共闘
Bパート:アーガマ対エンドラ・ゲモン・ヤザン連合軍、シャングリラ脱出

コメント
 結構目まぐるしく動く回である。カットも多いので台詞を見落とすと意味が取れなくなる。これはそれだけ脚本が緻密ということ。タイトルは「鎮魂の鐘は〜」と沈鬱で冒頭も葬式の場面でラストも葬式なので暗い話を想像させるが、実は結構面白くテンポ良く進む回であり、ゼータもこれでやってくれればという技巧に富んだ回である。この時点ではまだ「明るい〜」路線なので、巨大な鉄パイプで戦艦アーガマを殴るゲモン、Zガンダムを組み伏せ積年の恨みをぶつけるヤザン、MSハンマ・ハンマで出撃しようとして自動ドアに手を挟むマシュマーなどギャグ要素もふんだんに盛り込まれている。艦長のブライトも含めてかなりくだけている中、一人ラビアンローズからやって来たルー・ルカがまともである。それにしても不憫なのは番組が始まってから元主役機なのにゲゼやガザCに殴られたり蹴られたりしているZガンダムである。(レビュー:小林昭人)

評点
★★★★ 次々と変わる展開に画面から目が離せない。


関連レビュー「ガンダムAGE第8 話 決死の共同戦線」脚本:兵頭一歩

あらすじ
 固いUEに対抗するため、ガンダムは手足を付け替えてタイタスガンダムとなる。「その拳でUEどもをぶっ飛ばしてこい」のバルガスに督戦され、フリットが再び戦いを挑む。そこで共闘するザラムとエウバ。そしてウルフの新型が救援に現れる。

Aパート:ラーガン対UE、UEにやられるザラムとエウバ
Bパート:UEの無差別攻撃、Gエクゼス登場

コメント
 本当に手足を付け替えるだけだとは思わなかったがビームラリアットで固いのをやっつけるフリット、しかし、その他大勢は普通UE(1台)に苦戦するのだった。しかし鎧タイタス、本当にプロレス技しかできないらしい。飛び道具や刀が使えないフリットにウルフの新型が救援に現れるのだが、正規軍の機体よりジャンク屋が作った機体の方が強いというのはどういう設定なのだろうか。またUEも全4話までおとなしかったのが突然無差別攻撃を始めるとか、ご都合主義という感じはする。ま、細かいことは考えず、一話一話でそこそこ見れればという感じで付き合うしかないかもしれない。次は魔法使いの工房らしい。つくづくRPG風味が強いガンダムだ。 (レビュー:小林昭人)

評点
★★★  話としてはそこそこ見れる、まだファーディーンにいるの?。


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2199第8 話 星に願いを」
脚本:村井さだゆき

あらすじ(人類滅亡まで343日・グリーゼ581で12日)
 冥王星を脱出したシュルツはデスラーから最後のチャンスを与えられる。グリーゼ581に達したヤマトは恒星の荷電粒子に捕らえられ、ガス生命体に追われて恒星に向かう。

Aパート:ガミラス建国千年祭、沖田発病
Bパート:恒星に向かうヤマト、シュルツの最期

コメント
 例によってやる気のない前作ダイジェストパート3、今度は11話と12話のダイジェストである。宇宙機雷を手で取り除く話はやりたくないんだなと分かる。どこまでも頭でっかちでオタクなスタッフである。冒頭はガミラス帝国の建国千年記念祭、しかし、大国家の大祝賀祭の割には会同している市民の数もごく少なく、見せ場はデスラーの演説だけとどこまでも地味な祝賀祭である。こういうのこそ前話の乗りで一晩中花火を打ち上げるとか、征服した諸民族の食材で彩った屋台の群れを出すとか、ヒルデなんぞはデスラー演説で騒ぐより、ガミラスカバブの屋台で串焼きを売っている方がよっぽどらしかった。で、地味な祝宴祭が終わり(たぶんお祭り自体嫌いなんだろう)、座興としてヤマト撃滅作戦が開陳される。前作の「夕食後の座興」よりも後に引けない出し方で、これからデスラーはガミラス国民全員の面前で大恥を掻くことになる。
 酔漢がピッで処刑されるのは前作11話だが、後はお定まりのイベントが散漫とやる気なく続く。比較的話の構造がしっかりしていた前作では、この2話は総統デスラーの残虐性と嗜虐性の話だった。ヤマトの敵とはこういう連中というコンセプトが明快だった話だが、祝賀祭の直後にイズモ計画の話を持ち出す話は相変わらずGdGdである。始まって5分でもう眠くなり、10分で気が遠くなる。とにかくガスに追われ、ヤマトは恒星に突撃する。波動砲で突破するのも前作通りだが、合間にシュルツが戦死する。デスラーは作戦の失敗を認め、戦死したシュルツらに2階級特進と1等ガミラス人の栄誉を与える。
 前作で恒星に突入したヤマトに佐渡が「艦長を殺す気か」と叫んだ台詞に説得力があるのは、前のカットで沖田が宇宙放射線病を隠していたことがきちんと描かれていたからである。恒星突入の際に島が徳川に状況を説明するのは、やはりその前で徳川と怒鳴り合いの喧嘩をしたからである。そして古代は最初のミサイル迎撃失敗で艦長の判断力に疑問を持っていたものの、ガス生命体の始末に病にあっても判断力の確かな沖田に信頼を深めるのである。このように前後できちんと流れがあったものをバラバラにしてしまっては、話としてもこれはまとまらない。 (レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:へなっとしたデスラーが、ガス生命体作戦をヤマトに破られて、全国民の前で大恥をかく話。悪の独裁者を、こんな目に遭わせていいのか〜?!

評点
 2話も忙しくまとめて、スタッフはいったい何をやりたいのか。(小林)
★★ 2199のヤマトは随分強いらしく、あまりピンチらしいピンチもない。(飛田)


関連レビュー
「Gのレコンギスタ第 8話 父と母とマスクと」

あらすじ
 マスク部隊と交戦するメガファウナをアイーダの父スルガン、ベネリの母ウィルミットが訪れる。

Aパート:アイーダ父登場、アーマーザガン大暴れ
Bパート:マスク退却、ウィルミット到着

コメント
 どうもこの番組は制作目的が「新しいガンダム」ではなく、既存作品に興味を向けてもらうためのプロモーションムービーではないかと思うが、6話で死んだデレンセンの謎、レイズナーの主人公エイジみたいな格好で爆散した彼だが、実はGセルフには過去ガンダムにはなかった機能、レイズナーの装備である交換式バックパックが採用されているのだ。つまりデレンセンは「拝借しましたよ」という業界人の挨拶である。こういうのは視聴者には分かりにくいが、やられた方は良く覚えている。この装備は富野の頭では考えつかなかった。
 どうも富野氏の理解では自分の宇宙世紀作品のみならず、SEEDなど過去ガンダム全部とレイズナーなど他サンライズ作品や東映などロボット作品(含むダイラガー)も「過去作」に含んでしまっているようだ。なお、前回襲ってきたマスクはまだ戦っており、バックパックをガンダムWのサテライトキャノンから交換したベルリのGセルフはガンダムタイタス(AGE)の装備でマスクを迎え撃つ。しかし、そのくらいならいっそ新ガンダムなど作らず、「スーパーロボット大戦」でもアニメ化した方が良いのではないだろうか。
 とりあえず、10代の人に向けたキャッチを筆者が考えるならば、こういう作品ならば「つまらなくても、見る!」であろうか。いずれにしろ、富野氏の認識では「ガンダムは自分の所有物」である。過去作を見てもらえれば印税が入る。悪かったなオルフェ千葉。
(レビュー:小林昭人)

運行長官:ベルリの母ウィルミット・ベナムの官職名、フォトン・バッテリーの運搬施設であるキャピタル・タワーの平常な運行を任務としており、同施設内においては全能の権限を持つ。敬虔なスコード教徒から選ばれ、法王にも直に面会できることからキャピタル・テリトリーの中でもかなりの高官と思われる。その職責から外交的任務をこなすことも多く、通常市民には知られていないトワサンガやヴィーナス・グロゥブについても知悉している。また、宗教指導者の側面もあり、フォトン・バッテリー輸送船「カシーバ・ミコシ」が接岸する降臨祭には祭司として法王とともに儀式を執り行う。が、ベルリの時代にはすでに形骸化していたようであり、長官のウィルミットが次々と起こる事件に為す術なく、必要な知識も有せず、事態を成り行きに任せていた様子が描かれる。この様子から、この官職は絶大な権限を持つが、実は世襲制ではないかという疑問があり、マスクによって指摘されている。作中の様子では、ウィルミットの地位は後にベルリに相続されたはずである。

評点
★★ 富野の意図はおおよそ分かった。こういうのもアリかもしれない。


関連レビュー
「鉄血のオルフェンズ第8 話 寄り添うかたち」

あらすじ
 名瀬の戦艦に乗り込んだオルガは艦橋を制圧し、名瀬を交渉に引きずり出す。鉄華団の実力を認めた名瀬はオルガにテイワズとの仲介を約束する。

Aパート:タービンズとの再交渉、クーデリア
Bパート:名瀬の説教、会社は家族

コメント
 2話と同じく時間が少し巻き戻りオルガのタービン艦制圧の場面、乗り込んだだけでは飽きたらず、ゼッフル粒子を撒いてコンピュータをハッキングし、艦橋を制圧というのは少々やりすぎで、いつの間にか鉄華団がデルタフォース+インテリヤクザに変貌している。
 これまで見たところ、主役の三日月とオルガというのは実はオルフェの認識では一つの人格で、元々一人であったものをそのままでは創作上難があるので二つに分割したキャラと筆者は考えているが、このオルフェのメアリー・スー(厳密には違う)はオルフェの本業は社長業なので、どうしてもオルガの方に描写が偏る傾向がある。それに作中でのオルガの描写は完全無欠でおよそ弱点というものがないために、資金不足というもっともらしい理由を付けて先ずはタービンズ(サンライズ)、続けてテイワズ(バンダイ)という順でグループ企業に潜り込もうという感じである。
 となると、再交渉での名瀬の提案は油断のできないもので、たぶん鉄華団の優秀ぶりを見た彼はオルガから使える人材を引き抜こうと目論んだのだろう。この辺のやり取りは実体験があるせいか、この作品はどれもそう悪くない。しかし、どうも学はありそうだし、三日月とほぼ同じ生い立ちにしては知略もカリスマもはるかに上回るオルガを見ていると、最初が最初だけに「ホントかな」と首を傾げたくなるのが本当である。
 仁侠ヤクザ物は東映極道映画の定番として一世を風靡した日本映画の定番ジャンルである。初心者ジャンルとしては「フウテンの寅さん」、「釣りバカ日誌」があるが、「仁義なき戦い」など硬派なものもあり、最近では北野武が「アウトレッジ」シリーズで再発掘している。ベースとなっているのは義理と人情とバイオレンスで、同じ手法を用いたオルフェンズが(日本人には)心揺さぶる話になるのはある意味当然のことなのだが、それゆえに筆者は禁断の手法を用いたこの作品はヤクザ映画同様、テレビの世界では少なくともR指定をするか、放映禁止にすべきとあえて主張したい。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★★ 古い手法で有効だが、スタッフの倫理観に問題がある。

(付記)
 正直な話、この作品の視聴率は低かったが、それで良かったのではないかと思える。前話から仁侠映画に傾斜している本作だが、この描写は下手を打てば会社の命取りになりかねない。面白い面白くないの問題ではなく、センシティブな問題をロクな考慮なしに弄んでいるのが筆者にも分かるので、いざそれが問題化した時、サンライズとオルフェはどうなるのかとても気になる。新聞で取り上げられれば、たぶん両社とも助かるまい。オルフェという人物には自意識過剰はあってもモラルがないことは当サイトでも手を替え品を替え、再三指摘してきたが、元はといえば彼の独創の主権返上に全ての元凶がある。そういう問題を扱えるだけの知力識見を筆者と異なり、この50男は備えていないのだ。

(付記2)
 筆者の★評価はオルフェンズは比較的高評価だが、多くは音楽とか脚本とか演出面での貢献である。ストーリーや設定についてはマイナス2くらいで考えてもらえば妥当な評価である。仁侠話はゼロ評価が妥当(放送できないため)。

※本作品は、上記のようにテレビ放映するには問題のある内容であることから、ここまででレビューは中止・終了とします。続きは「コスモウォーリア零」レビューをお届けします。


その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第8話レビュー
「パラレルユニヴァース」 Z第8話レビュー


関連リンク
An another tale of Z 第8話紹介
An another tale of Z 第8話「再会」(本編)

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