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An another tale of Z

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機動戦士Zガンダム第6話「地球圏へ」 脚本:鈴木裕美子

あらすじ
 レコア・ロンドを降下させるため戦艦アーガマは地球に接近する。一方で両親を失ったカミーユはその孤独をレコア、エマにぶつけようとするが、その際に30バンチ事件の話を耳にする。ジェリドはベテランのライラに師事して出撃、レコアのカプセル射出を巡る小戦闘が行われる。

Aパート:地球に近づくアーガマ、30バンチ事件
Bパート:レコアの地球降下、ライラ隊の攻撃

 難しい話がひと通り終わったのでという感じの話、それまであまり注目されなかったエマ、レコア、そしてライラなど女性陣にスポットが当てられる。クワトロと親しげに話すレコアにカミーユが嫉妬する場面があるが、それまでそういう絡みがほとんど描かれていなかったために(身の回りの世話さえしていない)唐突感がある。

男女関係でも戦闘シーンでも
美味しいところを持っていくカミーユ

 これもかなり早くから登場していたものの、話の間のおじゃま虫、場つなぎ扱いだったボスニアのガルバルディ隊、ライラ・ミラ・ライラにも注目があり、彼女が実はジェリドより凄腕のパイロットだったことが明らかになる。ただ、パイロットの話のはずがライラの応答で男女関係の話にすり替えられているのは、どうも制作者はこの話は女性陣の話と決めてかかったことに理由がありそうだ。その過程で次の話で明らかになる30バンチ事件が語られる。
 注目される三人の女性のうち、ライラとエマ・シーンは安彦良和氏のデザインであり、当時でも同氏の女性画は美麗と定評があるものだった。特にライラはいかにも安彦キャラのゴージャスな女性なのだが、見せ場らしい見せ場もないまま次の回で殺されてしまうのは残念である。エマもデザインの良さが作品で生かされていたとはとても言えない。が、この回に限っては彼女らは華やかである。

カオルのひとこと:立て続けに両親を失った悲しみを慰めてもらおうと、レコアの後を追うカミーユ。彼女がクワトロと個人的に話す様子にショックを受けると、今度はエマの個室を訪れます。こうして華やかな女性陣との絡みを独占してゆくカミーユなのでした。

 後半は地球に降下するレコアとそれを巡るジェリド・ライラ隊との交戦。ライラの引き立て役としてサラミス艦モンブランが撃沈されるが、この艦も初めの方から登場するもののほとんど背景で艦内描写さえ描かれなかった船なので、あっても無くても良いような場面である。ライラが強いと言いたいだけの描写。エウーゴ側でライラの好敵手であるはずのクワトロは戦闘衛星とかGMとか安いメカばかり撃墜しているので、今回は特に絡みもない。エースパイロット同士の凌ぎを削る宇宙戦というのは、この作品では期待させておきながらほとんど描かれなかった。主としてカミーユが邪魔をしたためである。なお、この戦闘の最中に地上からこれを目撃するアムロの姿が描かれている。

カオルのひとこと:カプセルで一人地球に降下するレコアが気になって仕方のないカミーユは、レコアを護衛しようと結局またまた勝手にガンダムで出撃してしまいます。つい先日まで高校生だった少年に好き放題されるエウーゴがだんだん間抜けに見えてきます。

やたらと目につくスタッフの「遊び心」が
ますます視聴者を混乱させる

 あと、最初の回から気になっているが、この作品の場合、背景画の人物に「めぞん一刻」に出てくるような女性がいたり、どうもスタッフらしいトレーナーの男とか出ているが(もう一つ付け足すならばクワトロの銃はH&K社のもので、これは実在する銃である)、少々目障りである。こういう遊び心が許されるのは本編が真っ当に作られている限りであって、そうでないこの作品の場合、こういう余計なものは作品の理解を妨げるだけである。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:カミーユ両親の人質事件という想定外の事件が収束し、エウーゴは本来の作戦行動へ。レコアはそのために単身地球へ降りるようですが、具体的な説明はありません。エウーゴ幹部のブレックス、ヘンケン、クワトロは茶を飲みながらの与太話、カミーユ周辺は痴話げんかばかりで、ストーリーを構成する組織と組織の関係はいつまでたっても見えてきません。次は30バンチ事件とやらで新たな燃料を投下するようですが、見ないうちから結論が見えるのは気のせいでしょうか。

評点
★★★ アーガマにも女性がいたというくらいの話(小林)
★★★ 華麗な女性陣の存在で引き立っているお話(飛田)


関連レビュー「ZZ第6話 ズサの脅威」脚本:鈴木裕美子

あらすじ
 アーガマとの戦いでコロニー公社の上役ダマールから苦情を受けるマシュマーだが謀臣ゴットンの仲裁(買収)で矛を収める。一方、ジュドーにニュータイプの素質を見出したブライトは昼飯を奢ってジュドーをアーガマに誘うが断られる。そこに新型モビルスーツ「ガザ」を操縦するマシュマーが現れ、コロニーのジャンクヤードでアストナージ操縦のゼータと戦う。

Aパート:ジュドーをスカウトするブライト、ズサ出撃
Bパート:マシュマー対ジュドー

コメント
 脚本家の数はゼータはこのあたりでは5人だが、ダブルゼータは切羽詰まった中での制作だったのでほとんどが遠藤、鈴木の二名が交互に書いている。そのせいかゼータではなかなか固まらなかったキャラクターの人格が比較的早く固まった印象を受ける。相も変わらず「市民を巻き込まない」と言いながらダマール屋敷は壊す、ジャンク山は崩すと徐々に被害を拡大していくマシュマーだが、破壊されたダマール邸を中心にジュドーらを追い詰めていく。ありがたいことに死者は出なかったが、この路線では当面死人は出て欲しくないものである。それと良く分からないのはガンダムが「ジュドーしか動かせない」というその設定だろうか。そういう場面はファーストにもあったが、ある程度戦い慣れした後の話だった。この話ではジュドーはまだ一介の民間人で、ガンダムにも30分程度しか搭乗していない。実はこの小さな不安、後になるに従って深刻なものになっていく。(レビュー:小林昭人)

評点
★★ ゼータには戻ってくれるなという作風で、イマイチ吹っ切れてない。


関連レビュー「ガンダムAGE第6 話 ファーディーンの光と影」脚本:日野晃博

あらすじ
 まだファーディーンにいる戦艦ディーバ、暇なフリットは市街でモビルスーツ同士の戦闘を目撃する。地下街でフリットは住人から武器を廃棄した銀の杯条約とザラムとエウバの戦いについて聞かされる。一方グルーテックはザラムのボスと取引する。

Aパート:マッドーナの親父登場、ファーディーン市街戦
Bパート:ファーディーン貧民街、デスペラード登場

コメント
 「面白い展開になっておろう(ザラムのボス)」という割には少しも面白くない第6話、誰だこの構成やったのはと言いたくなるが、理由は「話を出すのが早過ぎる」こと。過去の大戦争とかコロニーの階層社会、戦争放棄の条約といった重いテーマは第1クールで語るのに適した話題ではなく、筆者だったらこれは第3クールに持っていく。結局ガンダムというのは「戦いは人間の本能」とか「死にたくなければ戦え」とか「戦争が人間を進歩させる」といった陳腐な理由しか語れないのかと嘆息する出来栄え、この部分だけはSEEDも00もUCも同じで、日野氏には期待していただけに「あ〜あ」という気分である。しかし、いちばん致命的なのは、やはり全話を通した話の組み立てのミス。
 Zガンダムの第3話とか5話みたいに、「これで見るの止めます」的な話は今の所見られないが、4話あたりから話がだんだんグズグズになっているような気がする。グルーテックの過去も「ちょっと無理あるんじゃないかな」というもので、今やこの作品の見所はこの腹黒艦長が次に何をするかくらいしか残っていないような気がする。そういえば、四クールで100年やるというこの作品、もう6話なのだった。本当は10年くらい経過していなければいけないのである。 (レビュー:小林昭人)

評点
  未消化の話、企画の底の浅さが分かる。


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2199第6 話 冥王の落日」
脚本:森田繁

あらすじ(人類滅亡まで361日・冥王星攻略戦2日目)
 シュルツの攻撃で海に沈んだヤマト、しかし、コスモゼロで冥王星上空に侵入したヤマト航空隊の山本は隠された敵基地に近づきつつあった。

Aパート:沈没しているヤマト、山本の基地捜索
Bパート:基地発見撃破、シュルツ逃走

コメント
 本来ならかなり面白い話をここまで面白くなくできるのはもはやある種の才能なのかもしれない。まず、冒頭のヤマト沈没シーン、前話で一度やったものをもう一度クドクドと再現する必要性はなく、前作はもっと簡潔だった。シュルツによる戦勝報告は前作では前の話だったが、前話は前話で山本の転属話などに尺を使っているのでこちらに移っている。が、この報告もゲールにより中間報告が握りつぶされていたために、報告を受けるデスラーも白け顔である。そもそもこの設定のためにデスラーがヤマトの名を知るのはこれが最初で、セレステラらの説明台詞がうざ長い。とにかく、2199では定番の初めから5分のGdGdタイムである。補修のシーンとかあるが、これも百合亜など女子キャラを見せたいだけだし、沈没寸前なのに太陽系を出られるかとぼやく藪も、これはこの場所で言う台詞じゃないだろとツッコミを入れたくなる。
 なお、反射衛星砲の原理は前作では3回ビーム攻撃を喰らって沖田などには分かっており、説明場面も特になかったが、今作では新見による説明が加わっている。視聴者には既知の内容なのだから、そんな説明は要らないし、それでも尺が余ったのか、山本が鼻歌を歌ったり、加藤が経を唱える場面まである。しかし、これはそんなに余裕のある話だろうか。とにかく戦闘機隊による小戦闘の後、山本が基地を発見し、三式弾を撃ち込んだヤマトにより基地は崩壊する。シュルツは旗艦で逃走し、司令官の盾になったヤレトラーはヤマトの主砲で爆死する。こうして、地球に遊星爆弾の脅威はなくなったのだった。
 基地攻略を三式弾と航空隊による攻撃にしたのは、原作による特殊工作班による爆破をやりたくなかったためと思われるが、矛盾を潰すと新たな矛盾というヲタクの方程式はここでも生きており、こんな攻撃ならヤマトを使うまでもなく残存地球艦隊でできたのだった。戦闘機は地球でも調達できるし、母艦になる艦も多少は残っていた。そもそも艦載機を使わないで戦った冥王星会戦の戦法が間違いだったわけで、こんな基地の攻略こそはヤマトはイスカンダルに先行させ、地球軍でやるべき話だったのである。原作の防衛軍ではほとんど全滅していて無理だが、メ号作戦を成功させた防衛軍にはそれくらいの余裕はありそうだったことによる。 (レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:航空隊なんかいらない、砲撃でやっつけられると主張する南部くん、見た目は爽やかさんになったけど、性格悪いよ…。結局山本の大活躍と主砲一発で一件落着。死闘はどこへ?

評点
★★ 前作にあった駆け引きがなく退屈。どんな話でもGdGdにできるスタッフの才能に脱帽。戦闘シーンは多少は評価。(小林)
★★ 昔とくらべて、戦い方も随分スマートになったものだ。(飛田)


関連レビュー
「Gのレコンギスタ第6話 強敵、デレンセン!」

あらすじ
 弾道飛行に移った戦艦メガファウナ、宇宙空間に出たデレンセンとキャピタル・アーミィーはベルリ救出のため三度出動する。

Aパート:デレンセン部隊出撃、Gセルフ宇宙へ
Bパート:デレンセン戦死、ベルリ悲嘆に暮れる

コメント
 DVDを借りてきてこのレビューを書いている筆者だが、ビデオを回すとOPとEDの曲はすっ飛ばすことにしている。高橋監督の作品なんかはこれらの曲は何度でも聞いていたいのだが、約三分という決して短くない時間が割かれ、作品のテーマ性が歌い込まれたこれらの曲は日常世界から作品世界に遷移する重要な演出の一つだ。しかしながら、Gレコにはその配慮は微塵もない。で、出撃するデレンセンの服装だが、かつて富野が潰したライバル番組レイズナーのエイジそっくりだ。
 第一話で軌道エレベータの「ナット」が第一宇宙速度で滞空していないことが説明されているので、弾道飛行中の戦艦を巡る戦闘は上昇しながらのものである。この速度では推力が切れると敵も味方も重力に引かれて落ちてしまうからだ。こうして書くとエキサイティングなようだが、実際の映像は少しもエキサイティングじゃない。で、新型バリア(サテライトキャノン)を装着したGセルフは「化け物か」と驚愕させたデレンセンを撃墜して速度を失い、これもファーストの耐熱フィールドまがいの装備でクリムを救出して海賊戦艦に帰投する。
 そもそも戦艦メガファウナがどこに向かっているのかも説明がないし、弾道飛行中の戦いの難しさも筆者がこうやって解説してやってようやく理解できる始末だ。そもそも第一話の説明に無理があるのだし、ここ二話ほど過去作演出が目白押しになっていて、これらが「ガンダム世界の」お約束と言いたいのだろうが、技術の目利きのできない富野監督の場合、これは以前彼が「センス・オブ・ワンダー」と誹謗した宇宙戦艦ヤマト以上のナンセンスになっている。ミノフスキー・クラフトが使えるなら軌道エレベータなど必要ないのだ。
(レビュー:小林昭人)

キャピタル・タワー:総延長7万キロの軌道エレベータの総称、地階はスコード教の大聖堂であり、最上階はやはり宗教施設のザンクト・ポルト(富野語で「聖なる港」)でフォトン・バッテリーの荷揚港である。大聖堂からザンクトまでは146区画に区分されており、およそ450〜500キロごとにナットと呼ばれる結節施設がある。エレベータの昇降装置はクラウンと呼び、最大時速2000キロで地上と宇宙を往復している。タワーの周辺はミノフスキー物理学によるバリヤー(ミノフスキー・マグネット・レイフィールド)が張られているため、この反重力装置により地球の引力の影響は排除されている。

評点
 劇伴の菅野祐悟はやっぱり菅野よう子の息子だろう。


関連レビュー
「鉄血のオルフェンズ第6 話 彼らについて」

あらすじ
 オルクスの裏切りにより地球圏への案内人を失ったオルガは木星マフィアのテイワズとの接触を目論む。イサリビではクーデリアが少年兵たちに読み書きを教えることを提案する。

Aパート:バルバトスの由来、厄災戦の歴史
Bパート:クーデリア読み書き教室、オルガの独白

コメント
 前話でギャラルホルンの総督が死んだので幕間狂言のような話、オルクスの裏切りにより水先案内人を失った彼らは新たな案内人を得に木星に向かう。木星にはテイワズマフィアがあり、その庇護下に入ることで火星に残ったCGSのスタッフの安全とクーデリアの地球護送を同時に確保しようという算段だ。が、つい先日反逆したばかりで無名の彼らにテイワズとの伝手はなく、無茶だというビスケットにオルガは三日月の目は裏切れないと話す。
 友敵感情という言葉があり、実社会やネットで激しく争っている間に相手に友情のような感情を感じてしまい、つい手心を加えてしまうということは実際でもある話だが、引退して農場主になりたいという夢を話す三日月に、そもそもオマエはそういう夢を持てる環境にいたのか、設定だったのかと白々とした視線を向けたくなる。他の面子も同じで、オルガが連れてきたのは年端も行かぬ少年兵ばかりだが、実際の紛争地域で大人兵が少年兵を引き連れるのは、戦いの際に人間の盾にするためである。このままではあまりに寒い話と、例によって無理して作ったホッカイロなストーリーという観は拭えない。
 あと、この話では話の3分の1ほどを使って三日月の乗るガンダムの由来や厄災戦の端緒、火星の分割統治について語られるが、細々した国を無理やり併合して主権を返上させるという話はオルフェはよほど好きらしく、たぶん彼は卓抜としたアイディアと思っているのだろうが、筆者がこのレビューを書いていて一番困るのがこの世界には警察に相当する組織がないことで、この話ではそういうのはみんなギャラルホルンということになっているが、そのギャラルホルンは金髪の兄ちゃんが宇宙戦艦に乗って優雅に談笑しているだけで、およそ役に立ちそうもない連中であることがある。オルフェ独特のこのプロットが話を変な方向に歪めている。以前はマンガのアストレイやリバイバルという二次創作作家の集まりであった、今度はテレビでやっているからタチが悪い。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★★ そろそろ必要な話ではある。見るのが辛いなら1話とこれだけ見れば可。


その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第6話レビュー
「パラレルユニヴァース」 Z第6話レビュー


関連リンク
An another tale of Z 第6話紹介
An another tale of Z 第6話「エウロパの休日」(本編)

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